2017年1月30日月曜日

(5)ユウちゃん、さよなら

 きょう1月30日は白文鳥のトビと桜文鳥のユウが生まれた日。ユウも5歳になるはずだった。 
 4日前の26日の朝のこと、起きて居間に行くと夫がいった。
「ユウが夜中に鳥かごの中に落ちたんだ。予備の鳥かごに暖房をつけ、ツボ巣に入れて寝かしてるけど、死んじゃったかもしれないな」
 ユウは前日、元気がなく鳥かごから出なかったらしい。あやさんは午後から出かけていたから、そのことは知らなかったけれど、最近、ユウは楽しそうでないと思っていた。いつも寂しげだったのだ。けれども、ユウが鳥かごの中で落ちるなんて思いも寄らなかった。寂しそうにしているのは、トビと一緒に遊べなくなったからだと思っていたから、そのせいで以前のような茶目っ気のある明るさが失われていても、そのうちにまた元気で活発なユウに戻るだろうと考えていた。
 もとはといえば、ユウのほうが先にパピのところに入るようになってとびと離れたのだけれど、パピは歳を取りすぎていて、あまり楽しくなかったのだろう。それで以前のようにトビと暮らしたいと思ったのに、スーと一緒になったトビには冷たくされた。それで、いつもつまらなそうにしているのだろうとばかり思っていた。ユウはこのところずっと体調が悪かったのだろうか?
 夫は、お腹を触ってみたけど卵は抱えてないようだ、といった。
 あやさんが急いでツボ巣からユウを出す。まだ生暖かさはあったものの、死後硬直が始まっていた。曲がった体をなでて直したが、もう天国に行っていた。
 ユウはまだ若い。まさか新年そうそうパピやチーよりも先に逝ってしまうなんて・・・。
「ユウちゃん、トントントン、ユウちゃん、トントントン」というと、あやさんの組んだ足のスロープをユウが横向きになって下りた日々を思い出す。姉妹のとびと交代で卵を温めてかえしたのもユウだった。ユウがいなければクリもチビも生まれなかっただろうから、もちろん、ランもスーもミーも、ここにはいなかったはず。そういう意味でもユウは充分に役割を果たして天国に行ったのだ。しかしまだ早すぎる。ユウの幼いころの茶目っ気たっぶりの顔が目に浮かぶ。フーの死後、桜文鳥のメスばかり3羽も死んだ。考えるとナナもユウもいい伴侶に恵まれなかった。1羽残った桜文鳥のココにはこの3羽の文鳥たちの分もクリと仲良く暮らして欲しい。

 ユウの死因は、はっきりしないものの、事故が原因だったかもしれない。鳥かごから出なかった日の前日、夫が鳥かごの掃除をしながらパピを鳥かごに戻したとき、いったん中に入っていたユウが飛び出した。そして、掃除をしながら床を見たら、ユウが落ちていたというのだ。いそいで手をさしのべたらユウは飛び上がってカーテンの上に飛んで行ったという。
「あのとき気づかなかったけど、もしかしたら変な飛び出し方をして、勢いよく固いものにぶつかったりしたのかな?」
 夫が思い出したように、そんなことをいいだしたから、事故で頭に内出血かないかを起こしていたとも考えられた。
 それにしても、パピを残してユウの法が先に逝ってしまうなんて、人生「鳥生」とはわからないものだ。これまで静かだったパピが、けさもユウを呼ぶように鳴いていた。

2017年1月24日火曜日

(4)放鳥の順番

 文鳥の鳥かご掃除の順番を夫は日によって変えている。それは多少は文鳥たちの相性も考えてのことらしいけど、たしかにミーとメグたち夫婦は同時に出さないほうがよさそうだ。夫の鳥かご掃除は2~3個の鳥かごを同時に開けてしていて、3本の止まり木とスカイカフェを毎回ウェットティッシュで拭いている。さらにツボ巣も鳥かごから出して中をきれいにしているから、鳥かごが7つもあると大変だ。
 それに、どうしてもそんなときには放鳥することになる。文鳥たちはそのときを待っていて、鳥かごが開けられると、いきおいよく飛び出して、カーテンレールや額縁の上などに飛んで行く。中にはまだ放鳥してない鳥かごの上に止まって上からのぞきこんで自分の優位を示そうとしている者もいて、ミーなどはメグたちの鳥かごに乗ってよく嫌がらせをしていた。
 最近、ミーとは別のシナモン文鳥がトビとスーの鳥かごの上にいて、じっと下をのぞきこんでいるけど、それはチーだ。チーもようやくほかのメスに気が出てきたようで、自分の娘のトビを見ている。とにかくチーは白文長が好きなのだ。それでもチーは、ミーのように中のトビやスーを威嚇したりいやがらせをしたりはしない。なかなか自分の鳥かごに戻らないで、ただじっと観察している。いまさらトビがチーに関心を向けるとはとても思えないけど、チーがようやくピポの帰りをあきらめたのだということがわかる。いま、チーとミーには相手がいないから、ややこしい。

2017年1月17日火曜日

(3)ランを巡って

 シナモン文鳥の若いオスのミーと、クリーム文鳥のメスのランは、同時に生まれた兄弟なのに、なぜか物心ついたころから、寄ると触るとケンカしていた。といっても、ミーのほうが一方的にランに気があって、考えもなくちょっかいをかけていたのでランが怒っていたのかもしれない。ランが近づくミーをこづいたりして争いになり、同じ兄弟のスーが中に入って止めていた。このままではよくないと思い、ランをミーと離してメグの鳥かごに入れたのだけど、最初のうちは借りてきた猫みたいにおとなしかったメグがだんだん本性を現した。長年独身で気ままに過ごしてきたせいか、妻に対する気遣いに欠けていて、マイとは違って平気で姉のトビを追いかけたりしている。去年などはランが怒って、面当てに、ミーの鳥かごに入ったりしたから、ことは複雑になった。
 最近また、ミーのメグへの敵対芯をあらわにしたいやがらせが頻繁で、鳥かごの周りから唸ったり、ときには自分がメグたちの鳥かごに入ってしまってメグを追い出したりと、ますますエスカレートしている。
 ミーのいやがらせを助長させたのはメグとランの行動にほかならないものの、この3羽のいざこざは当分、続きそうだ。夫は、
「ミーの相手が必要だな」といっているけど、どうするのだろう。
 下の映像は昨年のものだけと、いまでもこんなことが続いていて、困ったものだ。

(文鳥の口喧嘩)
 ミーがランとメグを相手にいやがらせ。
カーテンの中からメグとランが組んでミーに対抗。ミーに対してはメグよりもランのほうが強そうだけど…。


2017年1月11日水曜日

(2)パピ、また、どこに?

 シナモン文鳥のパピはあと1か月で8歳になる。普通、文鳥の寿命は7~8年らしいから、かなりの高齢者ということだろう。それでも長年一緒に暮らした妻のフーを亡くした後、ココ、ユウと2羽のメス文鳥と暮らし、いまだに独りでいるチーとは対照的にメスにもてている。ひとつには白文鳥にしか興味を示さないチーと違って、あまり選り好みしないということもあるようだけど、パピも本当は桜文鳥のユウよりも、白文鳥のトビのほうに関心を示していた。それでもパピはいまユウと暮らしていて、チーよりも幸せそうだから、あまり相手にこだわらずに仲良くできるほうがよさそうだ。
 とはいえ、パピも寄る年波には逆らえない。また事件が起きた。
「あれ、パピがいないぞ」と夕方、文鳥たちを鳥かごに戻していた夫が、騒ぎだしたのだ。
「またなの。どこかに落ちちゃったんだわ」と、あやさんが鳥かごの置いてある机の下や電話台の下に潜って、物をどけてみたりするけど、パピの姿はどこにもない。名前を呼んでも静かなまま。
「もう、鳥かごに入るのが下手なんだから、出なければいいのに」と、あせりだして、ほかの部屋や台所など、普段パピが行かないようなところも探すものの、いない。文鳥たちも知らない様子で、ユウなどは鳥かごの上で呆然としている。
 まさかと思いながら、玄関の明かりを点けると、土間に塊があった。そして、それが動いた。ヨチヨチと。
「パピ、こんなところに!」といって近寄ると、慌てて飛び上がって、玄関ドアにぶつかって落ちた。まったく7年前にきたばかりのときと同じだ、と思った。昔のドジな動きに戻ってしまったようで、やはり歳は取りたくないものだ。
 落ちているパピを拾い上げて頭をなでてやる。おとなしくなでられているから、気持ちがいいのだろう。そのまま鳥かごに入れると、間もなくユウも入った。
 その翌日、ユウが珍しく早くに鳥かごに戻っていて、パピも一緒にいた。ユウは前日のことを覚えていて、パピを早く鳥かごに戻さなければと思ったのだろう。メス文鳥は、ココにしてもユウにしても、なかなか利口なようだ。
 これからだんだん日の入りが遅くなるから、薄暗いと見えにくそうなパピには少しはいいかもしれない。
     (写真は新年のパピ)

2017年1月5日木曜日

(1)新春

 明けまして おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 2017年の干支は「酉(とり)」。まさに文鳥たち鳥さんの年がやってきて、知ってか知らずか、一生に1度出会えるかどうかの年を迎えてみんなうかれて、はしゃぎまわっている。
 ところで、彼らの幸せって何だろう? なんて、暇なせいか、ふと考える。毎日、平和に暮らせることか、可愛がってもらえることか、良い伴侶に恵まれることか、ヒナをかえして育てることか、それともたらふく食べることか、みんなと遊ぶことか、いろいろ考えてみるけど、とりたてて、これっていえない。
 彼らはあまり先のことは考えないで日々その時々を楽しんでいるようだから、彼らの幸せは、元気で長生きすることかもしれない。
 2月には最年長のパピが8歳になり、8月にはチーもそうなる。今年はこの家で生まれたマイもココもルミも7歳になるから、飼い主をはじめ、ますます高齢化が進む。
 それぞれいろいろ具合の悪いところも出てきているけど、それなりにゆったり暮らせば老齢も悪くない。
 といっても、若いメグ、クリ、ラン、スー、ミーなどに煽られて、年寄り文鳥もそうのんびりばかりもしていられない。それも老け込まないからいいかもしれない。
 ところで新しいヒナの誕生は、いまのところ難しいようだ。ランもトビもあまり真剣に温めていない。さて、今年もどうなることか。