2019年9月24日火曜日

(十七)3羽のシナモン文鳥



 わが家にいる10羽の文鳥のうち、3羽がシナモン文鳥で、オスがチーとミー、メスがルミである。

 この3羽は外見が似ているので、目の悪いあやさんには見分けにくいのだけれど、正確や行動パタが違うため、あまり間違えることはない。

ところが先日のことだ。夕方になって、夫の帰宅が遅いため、まだ鳥かごに戻っていないミーとモカ(クリーム文鳥)のペアを鳥かごに入れようとしたけれど、この2羽は逃げ回っていた。仕方なく、そのままにして、チーにエサを食べさせるためにチーの鳥かごを開けた。ルミも出てきて、チー以外の3羽は、高い場所(カーテンレールの上)に止った。

チーにリンゴジュースとえさを与え、手の中で眠らせたあと、しばらくすると、テレビから気象情報の音楽が流れた。まもなく午後7時、文鳥たちの寝る時刻だ。何羽かがさえずって、布をかけてほしいようだったけれど、夫はまだ帰ってこなかった。

 そこで、あやさんがミーとモカを鳥かごに戻すため、チーを鳥かごのツボ巣に寝かせてから、4つの鳥かごの水入れの水を取り換える。そして出ている3羽に、自分の鳥かごに入るようにいうけど、頭の悪いミーとモカはいっこうにもどらない。

 ほかの文鳥たちは、早く布をかけて欲しそうなので、順番に布をかけ、まだ出ているミーとモカのところは、そのままにしておいた。

みんな眠る時間なので、居間の電気を消したが、夫はまだ帰ってこなかった。このややこしいミーとモカは、普段は夫がえさを乗せた手に2羽を止まらせて鳥かごに入れている。だから、あやさんには、あまり近寄ってこない。ほかの文鳥と違って、あやさんの手に乗ったり頭に乗ったりしないのだ。

2羽の文鳥を居間に残したままほかの部屋に行くと、居間から変な音が聞こえてきた。てーぶルの上でピシャピシャとまるで水浴びをするような音。あわてて電気を点けてみると、薬の袋が入っているカゴから1羽が飛び立った。直後にモカと思われる文鳥が台所に飛んでいき、あわてて戻ってカーテンレーるの上に止った。パニックを起こしているらしい。もう1羽の姿が見えないと思ったとき、こんどは食器戸棚の上あたりから1羽が出てきて、少し離れたカーテンレールの上に止った。

 電気を点けたので、自分で鳥かごに入ろうとすれば入れるはずだけど、何かおかしい。隣の鳥かごから、鳴き声がしたので、「もしや ?」と思って、チーの鳥かごをのぞくけど、スカイカフェにいつものようにルミがとまっている。

「ルミ、ルミちゃんでしょ?」といって確かめるけど、文鳥は応えない。困ったあやさんは、そのままにして、夫を待った。

 結局、夫が帰宅してから文鳥たちは、それぞれの鳥かごに収まったのだけれど、じつは、チーの鳥かごに入っていたのは、ミーだったということがわかった。ルミにそっくりに見えたけど、何か違和感があったのは事実。ミーが勝手にルミに成り代わっていたから、ことはややこしくなったのだ。逃げ回っていたのは、自分の鳥かごに入れなくなってしまったルミと独り残されたモカだったのだ。あやさんの目の悪さに手伝って、ミーがあまり利口でないことで、こんなことになってしまった。

ルミとモカは、災難な目にあって気の毒だった。チーは、シナモン文鳥でも飛べないから、間違えることはなかった

 

2019年9月11日水曜日

(十六)恐ろしい台風



 先日の千葉県を直撃した台風15号は、この辺ではかつてないほどの強風を吹かせた。我が家では庭木が少し倒れたくらいの被害ですんだけれど、大きな送電線が倒れた地域もあったようだ。

すでに3日も過ぎるというのに、いまだに停電が続いいていて、この暑さのなか、冷房が使えないどころか、水も出ないところがあるという、もし、それが我が家だったら、と思うと恐ろしい。人間も大変で命にかかわる事態だけれど、我が家の場合は、まず文鳥たちが弱ってしまうだろう。特に高齢なチーなどはもちろん、8歳9か月になったルミや7歳8か月のトビなども弱って死んでしまうかもしれない。

8年半前の東日本大震災のときも水道が使えなくて大変だったし、電気も計画停電があって寒い思いもしたけれど、いま思えば熱中症になる心配はなかった。冷蔵庫が使えなくても大丈夫な気候だった。おまけに文鳥たちも若かったから、何とかやりすごせた。

そういえば、あの地震を知っているのは、もうチーとルミだけになってしまった。あのとき文鳥たちは、しょっちゅう揺れる環境に耐えていた。そんな苦難を超えて、この親子は長生きしている。それでも、いつも思うことだが、彼らの命は飼い主の無事いかんにかかっている