2024年6月11日火曜日

(11) リンゴジュースと文鳥

 

あやさんちでは毎日、文鳥たちのためにリンゴジュースを用意している。生協から配達される透き通ったもので甘くておいしい。これを毎日鳥かご内のスカイカフェに1時間ほど入れて置く。メグの場合は床のえさと並べて置くようにしているが、それはメグが以前にスカイカフェに入れて置いたリンゴジュースを水と間違えてそこで水浴びをしてしまったからだ。これでは羽がベタベタになってしまう。そんなことはスーにもあったそうだけど、いまは決まった時間だけスカイカフェに入っているので、それはなさそうだ。それどころか、スーはリンゴジュースを入れるとまるで「待ってました!」とばかりに飲み始めるという。

 夫によると、スーは元々はリンゴジュースはほとんど飲んでいなかったらしい。フユだけが喜んで飲んでいたが、いつのまにかスーがフユよりも先にその場所をとってリンゴジュースを飲みだしたらしいのだ。最近では、スーはまるで自分だけのもののように飲んでいる。「おいしいものは俺様のものだ」といわんばかりに。

 スーの兄弟だったミーもリンゴジュースが好きで妻のモカにはあまり飲ませなかったようだ。そして、クリの妻だったピヨもほとんど飲まなかったらしい。オスにはそんな威張った習性があるのかもしれない。

 昔、この家にピーとフーというつがいの白文長がいたときのことを思い出す。オスのピーは威張っていたけれど、新しいものには案外臆病で、先にフーに試させていた。フーはいわれたようにあまり恐れる様子もなくピーの指示通りにやっていたから、メスのほうが度胸がいいように思った。反対にオスは臆病のくせに威張っている。人間社会にも似たようなことがあるような気がする。ちなみにリンゴジュースは家族みんなで同じものを飲んでいる。