(7) モカの楽しみ
1週間前だったと思うが、モカの少し短めの羽根が床に落ちていた。まだまだ換羽の最中らしい。寄る年波も手伝ってモカはあまり元気がない。恐らく羽が抜けるために体調がよくないようになっているのだろうが、特に夏毛に変わるときは大変なようだ。そんな彼女の楽しみといえば、あやさんの手の中で昼寝をすること。いつもあやさんの手が鳥かごに差し入れられるのを待っている。ツボ巣に手を入れると、すぐさまその手に乗ってくる。背中をさすってやると、かゆいのか気持ちよさそうに目を細めて静かにしている。警戒心などみじんもない。
そして、モカはあやさんの手の中でぐっすり眠る。そのうちに動き出すのは、たいてい糞をしたくなったとき。あるいはお腹がすいてきたとき。
最近ではあやさんの手にしっかりつかまって、踏ん張って糞を出し、それからえさの場所に近づけてやると、黙々とえさを食べる。それからまたあやさんが座っている椅子に近づいてきて抱き上げてもらうのを待っている。たいてい片手にモカを抱いたまま、あやさんも1時間ほど居眠りをしていたりする。ふたりのおばあさんが部屋の真ん中で平和に居眠りをしているというわけ。それも午前と午後の2回も毎日のように。こんな平和がいつまで続くのだろうか、と時には不安になりながら。
もうじきモカは8歳3か月になる。この家で暮らしたメス文鳥では9歳生きたルミに次いで2分目に長生きとなる。けれどもルミは死の間近まで飛べていた。モカはかなり前から飛べないし目も悪い。目の悪いあやさんが面倒を看るには丁度いいのだけれど、ルミの年齢まで生きられるかは心配だ。みんないつかは天国へ昇るのだから、それまでモカが幸せであってほしいと願う毎日である。