2025年11月15日土曜日

 

(十九) モカは毎日、日向ぼっこ

 このところ日中の陽射しが心地よい日が続いている。午前中に居間に射し込む光線は日向ぼっこにもってこいの暖かさで、モカもその恩恵を受けることになった。

 午前10時近くになると、モカが鳴いて、当然のように鳥かごから出すようにとせがむ。日の当たるソファーの上に出して止まり木に乗せてやると、しばらくはそこに止まって日向ぼっこをし、そのうちに場所を移動して部屋の隅の床の上にいたりする。もう飛べないし目も悪いおばあさんなのだ。このいえでは目の悪いふたりの老人が日向ぼっこをして居眠りをしている。絵に描いたら平和な光景に映るだろう。モカはフユがいなくなって独りになってから、すっかりあやさんと仲良しになった。ふたりとも他に家族がいないのだから当然の成り行きかもしれない。

 モカがこんなに人に抱かれるのが好きだとは思わなかった。これまでのモカはフユに比べて人懐こいとはいえない文鳥だった。どちらかといえばおすまし文鳥で、この家に来た生後3か月くらいのときには、たくさんの文鳥を見てびっくりしてあやさんの指にしがみついていたものの、その後あまり人には近づかなかった。そのころはまだメモ良かったので、夫になったミーに対して威張っていた。そのモカがこの家で最初の頃に飼っていたフーのようにすっかり赤ちゃんみたいに、あやさんに身をゆだねている。文鳥はやっぱり繊細で賢い鳥なのだ。