2022年3月26日土曜日

(7)お彼岸も過ぎて

 

お彼岸の3月21日は、長寿だったチーの命日。いまでも、突然に家から出て行ってしまった妻のピポの帰りを待って、チーは長生きをしたように思えて、、ピポにもチーにもすまない気持ちになる。でも、仲の良かったふたりは天国で再会しただろうと思うことにしている。

 いま最年長のメグは、だいぶ飛べなくなったものの元気に過ごしている。モカとミー、クリとピヨのカップルは仲が良いが、スーとフユは、相変わらずときどき別居している。それも最近では午前中の2~3時間程度。朝になると追いかけっこをして暴れるので、仕方なくスーを鳥かごから出して、別の鳥かごに移す。そのまま静かにそれぞれ過ごすが、2時間もするとお互いに大声で呼び合う。そこでスーをフユのところに戻してやると、嬉しそうに鳴き合って、一件落着となるのである。夫の話では、フユの尾羽がちぎれて短くなっているらしい。それに夫が気づいたのは10日ほど前のことだったそうだが、

「どうしたのかしら?」と心配してきくあやさんに、夫は、

「たぶんケンカして、スーにちぎられたんだろう」といった。

 そうだとすると、フユのほうが強いと思っていたけど、そうでもないのかもしれない

2022年3月11日金曜日

(6) 人間の恐ろしさ

 

 11年前の3月11日、東日本大震災の大地震が起きた。その日はまだ寒かったが、これから春になるという平和な日だった。けれどもいきなり始まった大揺れは長らく続き、大津波とともに原発のメルトダウンという恐ろしい災害をもたらした。たくさんの犠牲者が出て人々の普通の日々が失われてしまった。そしてその傷跡はまだ生々しい。

 いま、ロシアのウクライナ侵攻で突然、平和な市民の命と生活が理不尽に奪われ、原発までも脅威にさらされている。恐ろしいことだ。しかもこれは自然災害ではない。人間の悪意によってもたらされている。許されないことだ。人間社会は、時として自らの種を滅亡に追い込むようなことを招いてしまう。それも、つまらない感情によってである。おかしいではないか。

 文鳥たちがそんなことをするだろうか。彼らは自然のうちに種を大切にしている。ケンカをしても相手を傷つけたりはしない。同房を撃つ人間よりはるかに賢いのである。何よりも生命を大切にしている。

 もうすぐ9歳2か月になるメグはあまり飛べなくなった。それでも鳥かごから出してやると、床に広げた布に撒いたえさを歩き回って食べている。そばにほかの文鳥が寄ってくると、時々うなって追い払っているが、よく見るとそれは相手がオスの場合で、メスのフユやモカがそばにきても怒らない。おじいさんは娘たちにはやさしいようだ。