春分の日にチーちゃんが11歳7か月の生涯を終えた。文鳥の寿命は7~8年といわれているから、まさに大往生である。この家で長生きしたマイもパピもルミも9歳少しで、10歳にも届かなかった。
このように長生きしたチーがお彼岸の日に昇天したというのも何か意味があるようにも思えるが、とにかく彼はこの日に、静かに長い眠りについた。
朝、ほかの鳥かごの新聞紙を換え、えさや水も変え終わったので、いよいよチーにえさを食べさせようとを鳥かごから抱き上げた。いつもなら自分で食事をしたあと、ツボ巣の下にもぐっているのに、このときチーはツボ巣と離れた場所で寝ていた。これまでは日に3回鳥かごから出してリンゴジュースとえさを与えてから手の中でしばらく眠らせていた。おそらくそれがチーの日々の楽しみになっていたはず。
チーがツボ巣の下にはもぐっていなかったので、すぶに手に取ったが力なく抱かれた。ぐったりしている様子で、
「もしや?」と思い永らリンゴジュースを指に付けてなめさせる。ちゃんといつものようになめた。それからえさを口元につけたけれど、チーはそのまま眠ってしまった。
本当に静かに命が燃え尽きるという感じで、やがてチーはそのまま動かなくなった。あやさんは長い間チーを抱いていたが、何の匂いもしなかった。チーの体はもう限界だったようだ。
チーはきのう庭の端に埋葬された。いまごろはピポやフー、パピ、マイ、ルミなどに無事に迎えられていることだろう。
そしてまた、あやさんちは寂しくなった。