2015年11月26日木曜日

(六)新しい2つのペア

 9月になり、パピとココが一緒に暮らすようになった。こうなってみれば互いに寂しくなった身だから、いまは幸せそうだ。親子だけど、オスとメスだから問題ないはず。それでも、このようにパピとココが一緒の鳥かごに入るようになるには、ちょっとした男女のやり取りがあった。
 まず、どちらも自分の暮らしてきた鳥かごに相手を誘い込みたいようで、うまく同じ鳥かごに戻れなかったりしていた。そのうちにココがパピの鳥かごに入るようになったのだけど、そんな中、ココがなぜかまた自分の鳥かごに戻ってしまった。
 あやさんが不思議に思っていると夫がいった。
「パピがトビに気のあるそぶりを見せたから、ココがすねているんだ」
 それでもパピのところにトビがくることはなく。ココは夫の手に乗ってパピの鳥かごに入った。それからは、パピも気をつけているのか、親子で仲良くえさを食べているが、やはり文鳥さんはプライドが高いようだ。
 メグとランもすっかり落ち着いた感じで、このままカップルになるだろう。メグは若い伴侶を得て、これまでになくおとなしくなった。白文鳥とクリーム文鳥の組み合わせは初めてで、ランはメグといるときは、おしとやかに振る舞っている。ミーとの唸り合いが嘘のようだけど、ひとたび鳥かごから出てミーを見つけると、以前のように追い払う。“目の敵”とはこのような状態をいうのだろう。
 ランはスーとは遊んでいて、ソファーに置いた白い容器で一緒に水浴びをする。そこにミーがくると必ず追い払うので、ミーはスーたちが浴び終わった後、独りで浴びている。水浴びといえばフーとパピの蛇口での水浴びを思い出す毛ど、フーのいなくなったいまでは、パピが蛇口に飛んでくることはない。
 4年前(2011年9月)に撮ったパピとフーが蛇口で水浴びする動画が出てきたのでここに掲載。

 メグはスーにはそれほどではないのに、ミーがくるとすごい勢いで追い払っている。ランの気持ちを知っているからだろうか。
 スーは一番ひとなつこくて、あやさんや夫の手に積極的に乗ってくる。それにくらべてミーはどちらかといえば、スーやランの真似をしてあやさんのところにやってくる。

   9月23日、ランが初めて卵を産んだ。次の日も、その次の日も産んで、結局5つになった卵をメグと交代で温めている。
 それから1か月、まだランとメグは交代で真面目に卵を温めているけれど、この卵がかえることはない。ランはおませで生後半年もたたないのに5つも産んだので、夫が早すぎるといって、迷わず偽欄にかえていた。パピトココは一緒になって落ち着いたようだ。
 4日後の28日、メグとランは相変わらずかえるはずもない卵を抱いて、いつになったら止めるのだろうと思っていると、
「もう、新しいのを2つ産んだよ」とこともなげに夫がいう。偽欄5個と実卵2個を一緒に温めているらしい。あやさんは、
「じゃあ、古い卵を取っちゃわないと」と思ったけど、夫は、
「そのうちに、新しいのを外さないと」というから、やはりこれ以上、ヒナが増えないように考えているようだ。せっかくだから、かえしてやりたいと思うものの、本当に、これ以上は難しい。もう14羽でいっぱいなのだ。
 ピーとフーの卵を何とかしてかえしたいと工夫したことを思い出すけど、最近は全く反対だ。うっかりしていると、いつの間にかヒナが生まれてしまっている。あんなにかえしたかった卵なのに、人間は勝手なものだとつくづく思う。とはいえ、いまいる文鳥たちにとっても、これ以上の増員は迷惑だろうから仕方がない。

2015年11月20日金曜日

(五)鳥かごが足りない

 最近、ランとミーが犬猿の仲で、寄ると触ると唸り合っている。これまであやさんちでは、こんなに長く1つの鳥かごに3羽でいたことはないけれど、兄弟がこうも仲が悪いのは初めて見る。
 ランはスーとは仲がよく、鳥かごから出ても一緒にいる。一方、同じオスでもミーは近づいただけで追い払われている。部屋に置いた容器の水浴びも、ランとスーで入って仲良くしていて、ミーはそばに寄ると、ランに追い払われる。ミーは、その後で、夫にいわれてひとりで浴びているけど、いまからこんなに女の子に嫌われていたら大変だ。
 ミーだけ別の鳥かごに移したい気もするけど、もう鳥かごを置く場所がない。独り住まいのココのところへ行くか、だれかパピかメグとペアになって、鳥かごを空けてほしい。
 スーは兄弟の中では体も大きく頭もいいので、ポス的な存在だけど、とくにミーと争ったりはしない。それでも小さかったミーが大きくなってきたので、ランとミーの喧嘩は互角に渡り合っていて、もう、スーも止めきれないから、近いうちにランとミーを離さなければならないだろう。
 3か月をすぎてから、ますますミーとランの喧嘩が激しくなった。ランがミーを寄せ付けない。近づくと、頭の上をコツンとやる。このままでは意地の悪い女の子になってしまいそうだ。そこで2羽を離そうと思い、ミーをココの鳥かごに入れてみたり、ランをメグの鳥かごに入れてみたりする。けれども、ココはメグに気があるようで、ミーが入ってきては迷惑そうだし、メグはトビに気があるようなので、なかなかうまくいかない。パピとココが一緒になれば、大きい鳥かごが1つ空くから、いろいろ工夫できそうなのだけど、パピが娘のココを追い出してしまう。妻のフーがいたときにはココにも言い寄っていたのにと思うけど、どうもこの家では白文鳥がモテルようで、パピもトビが気に入っているらしい。
 8月7日、おとといから夫は、夜だけランをメグの鳥かごに入れている。ランは若いおじいさんのところに入ったわけだけど、彼女のほうは気に入っているようで、落ち着いている。メグもおとなしくしていて満更でもなさそうだ。これでオスのスーとミーだけがメグの正面の鳥かごに残ったわけだけど、いまのところ問題ないようだ。
 パピもフーが死んでからは独り住まいで、そこにときどきトビとユウが入っている。2晩ほど3羽一緒にパピの鳥かごで過ごしたものの、やはり朝になって覆いを外すと、パピがユウを追いかけ回す。トビとは一緒にえさを食べていて、どうもユウが邪魔なようだ。ユウは鳥かご中を逃げ回っても自分だけパピの鳥かごから出るつもりはないらしい。ユウはトビと別れたくないようだけど、トビの気持ちはどうなのだろう。
 結局、パピはまた独りになり、ココも同様で、寂しそう。それでもココのほうは、子どものときのようにパピの鳥かごに入ったりしているから、あとはパピ次第だろう。パピはトビがいいらしいけど、そちらはなかなかうまくいかないだろう。パピがフタマタをかけているうちに、ココの気が失せてしまうかもしれない。文鳥さんはプライドが高いのだ。

 ところで3羽のヒナは見た目もあきらかに違うけど、性格はもっと違うように思う。持って生まれた性格というのがあきらかにあって、それは何ともしがたいような気がする。スーとミーはどちらもオスだけど、ミーはまるで子どもで、相手の気持ちなど想像できないから、思うように行動する。最初に唸り合っているのを見たとき、ランがミーを嫌っていじめているように思った。ところが、だんだんわかってきたのは、ミーが乱暴にランに乗ったりするので、ランがいやがっているということで、まるでいたずらざかりの悪餓鬼のように、本人はくったくなく行動するのだけど、これではランに嫌われるはず。わが道を行くというところは、曾祖父に当たるチーによく似ている。
 スーはランとミーの間に入って、ケンカをやめさせたりしていて、もうすでにリーダーの素質をうかがわせる。人にも高い関心を示して、利口なオスの文鳥を思わせ、かつていたピーに似ている。ミーは独り勝手に行動気味だけど、とにかく歌が好き、パピのような鳴き声で暇さえあればさえずっている。
 

2015年11月13日金曜日

(四)オスかメスか

 6月になると、数日前からぐせり出していたヒナの声は、ミーのところから出ているとわかる。最初のうちあやさんは、活発で少し体の大きいスーかと思っていたのだけれど、ミーだった。シナモン文鳥のミーがオスだとわかったが、そうすると、白文鳥のスーは、メスなのだろうか。多分、クリーム文鳥のランはメスだと思うけど。いずれにしろ、来月になれば、はっきりするはず。オスばかりより、メスが多いほうが平和な感じがする。
 じつは昨夜、これまでにはなかったことが起きた。マイとルミのペアと、ユウとトビの姉妹が4羽とも鳥かごではない場所で1夜をすごしたのだ。今年は5月から夏日がつづいていて、文鳥たちの換羽も、そろそろ終わりに近づいている。換羽中はみんな調子が悪いのか、放鳥してもそのうちに自分から鳥かごに戻っている。ところが、そろそろ換羽も終わりのようで、みんな夏の羽に変ってすっきりして見える。動きも活発になってきたせいか、なかなか鳥かごに戻らないものも出てくる。トビとユウは、おとといも鳥かごに戻らず、最後は夫に捕まえられていた。ときどき鳥かごに入ってえさを食べたり水浴びをしたりするものの、なかなかの知能犯で、1羽ずつ入り、もう1羽を夫が手に乗せて鳥かごに入れようとすると、えさを食べ終わったほうが逃げ出してしまう。ナナとココもそうだったけど、どうもメス同士だと、あまり鳥かごに戻りたくないらしい。ふつうオスのほうが、人間の様子に敏感に反応するように思う。それでも、ユウとトビは、この日に叱られてこりたのか、次の晩はちゃんと鳥かごに戻った。
 それが昨夜は、なぜか4羽で戻らない。夫の話では、オスのマイは、いったん鳥かごに戻ったのに、ルミが入らないので、また出たらしい。そして、4羽で逃げ回り、とうとう7時になっても鳥かごに入らなかった。
 文鳥たちの就寝の時刻になったので、夫は彼らの鳥かごの半分にだけ布をかけ、入口をあけておいたが、朝まで額縁やカーテンの上にとまっていた。まあ気候もいいし、鳥はそうやって眠るものなのだろうからあまり問題はないと思うけど、お腹がすいても何も食べられないから、朝になってもずっとそのままというわけにはいかないはず。鳥かごの布をはずすと、あわてて中に入った。

  6月8日、きょうスーがぐぜっているところを見た。やはりスーはオスのようだ。これでヒナはオスが2羽、メスが1羽とわかった。これまでのオス5羽、メス6羽に合わせると雌雄どちらも7羽ずつ。さて、新しくどんなカップルが誕生するやら、いまから楽しみだ。

  7月下旬、ヒナたちも生後3か月を過ぎ、かなり一人前になってきた。シナモン文鳥のミーなどはルミと見間違えるほどよく似ている。歌が好きで、いつもパピのような鳴き方で鳴いている。これまであやさんちで生まれたオスの文鳥は、みんなチーに似た鳴き方になった。パピとチーという2種類の鳴き方があって、最初に生まれたマイは、父親のパピではなく、よそのお兄さんのチーの鳴き方を真似た。そして、チーの子どものメグもそのまた子どものクリも、マイの真似をしたのかチーと同じ鳴き方になった。だから、こんど初めてパピのように鳴く子が現われたのだ。そういえば、ミーの兄弟のスーのさえずりも、同じようにパピに似た個所がある。
「ホッホッ、ホチョチョン、ホチョチョン」という鳴き声だけど、パピが鳴いているのかと間違えるほどだ。こうしてみると、オスの親離れを感じるけれど、これは偶然なのだろうか。パピは自分の真似する声を聞いて、どう感じているのだろう。うれしいのだろうか。それとも、「ちょっとそこが違うんだな」なんて、気になっているのかな。


2015年11月6日金曜日

(三)スー、ミー、ラン

 3羽のヒナの誕生日は4月10日になった。母親のチビはかなりへとへとになっていて、夫が4月26日(日曜日)に、ヒナたちをフゴに移した。これまでヒナがいたツボ巣の中はフンだらけで、クリとチビのために新しいツボ巣に取り換える。ヒナにも名前をつけて、「スー」「ミー」「ラン」にする。以前どこかで聞いたような名前だから、。覚えやすいだろう。
 朝の7時にさしえをすると、親が食べさせていたときとは違って、つぎに鳴き出すのは11時頃だった。かなり食事の間隔が長くなったから、親の食べさせるえさの量では、もう足りなくなっていたようだ。
 朝7時、10時半  2時半  6時と1日4回、夫がさしえをする。その間は、フゴの中で3羽がくっついて眠っている。けっこう静かにしていて、さしえに追われることはない。さしえを始めると、にぎやかに鳴いて大口をパクパクするから、かわいい。
 一方、ヒナのえさやりから解放された親鳥はホッとしているようでもあり、気が抜けてしまったようにも見える。いずれにしても母親のチビはかなり体力を消耗してしまったようで、飛び方は前にもましておぼつかない。
 ランはクリーム文鳥で、ミーはシナモン、スーは白文鳥らしいと夫がいった。みんな白っぽい羽が出てきている
 29日には、ヒナのさしえを息子にビデオでとってもらう。夫の手に乗った3羽が大口をあけてえさを待つ。ギャアギャアとうるさいけど、だれかの口にえさが入るときには、3羽が同時に泣き止むから面白い。いまのところ、ランの体が1番大きい。
 5月の連休中もずっと、さしえが続いて、ヒナたちは日に日に大きくなっていく。もう、すっかり成鳥の形になった。
 5月8日、鳥かごの中で、フゴからツボ巣に入ったり、ツボ巣の上に上がったりしている。みんなバサバサと羽ばたいて元気だ。スーは鳥かごから出すと、本棚の中断まで飛んで行った。いちばん活発で、体型と動きは曾祖母に当たるピポそっくり。ランはそれに比べるとおしとやかで、ミーはまださしえをたくさん食べている。もうそれぞれの個性がはっきりしているから、持前の性格というのがあるとわかる。
 生後1か月になると、もうみんな飛んで本棚の高い場所に上がったりする。さしえの量は少なくなっているけど、まだ3羽とも食べている。鳥かご内のボレーなども食べだしたようだから、あと2日もすれば、さしえはいらなくなりそうだ。すっかり成鳥の形をしているものの、鳴き声はまだ幼い。

5月23日、フーが死んでしまってから3か月になる。この間に、ナナの腫瘍が出血して大きくなり、ナナまで死んでしまうなど、辛いことが続いた。
 ところが、まもなくチビとクリの子どもが生まれ、ふたりは悲しんでいるひまはなかった。 ナナは最後は痛そうだったから、見ていてもハラハラした。それでも、死ぬ前日には、あやさんの手の中から、みんなに向かって
「大丈夫だよ」というように鳴いていたから、バッファリンで痛みが少し和らいだのだろう。そして、よく朝、あやさんの手の中で眠るように死んでいった。とにかく腫瘍は驚くべき速さで大きくなったのだ。いま心にひっかかるのは、フーのことよりもナナの短かった命のことで、それを思うと、フーは満身創痍だったけれど、ちゃんと寿命をまっとうできた。寂しくなったが、そんなに悲しむことでもないはず。

 思いがけないヒナの誕生は、さびしくなったあやさんちを活気づけてくれた。いまのところ、大人の文鳥たちは、ヒナたちのパワーに圧倒されて、様子見の感じで、換羽の時期も手伝って、争ったりはしない。 
 パピはフーが死んでしまってからも、何度か手のひらで水浴びをしたけど、この1か月はしてないから、換羽で調子が悪いのかもしれない。ココはマイとルミが水浴びをするとき一緒に飛んでくるけれど、ルミに追い払われている。ひとりでは浴びられないから、結局、水飲みで浴びている。
 ヒナたちも丸い容器に水を入れておいたら、最初は水を飲むだけだったけど、まもなく中に入ってバシャバシャするようになった。3羽もいると、だれかが浴びればほかの者も真似をするから、たちまち3羽とも水浴びをするようになり学習が速い。
 ヒナは、白文鳥のスーが、いちばんお転婆だ。ミーはシナモン文鳥で、よく食べる。尖った嘴で首筋などに噛みつくから痛くて困る。ランはクリーム文鳥だけど、3羽の中では、おしとやかなほうだから、メスかもしれない。
 ヒナたちはみんな、鳥かごから出ると、よくふたりにくっついている。服のボタンや模様に興味を持って突っついたりしながら、まとわりついていて、かなりの甘えん坊だ。