2020年1月8日水曜日

(2)さよならルミちゃん

 
 お正月そうそうの5日夜、ルミが天国に召された。9歳余の一生だった。ルミが生まれたのは東日本大震災の前年2010年の12月12日だった。ルミは生まれてからこのかた一度もこの家から出たことがない。医者に行くこともなく手のかからないシナモン文鳥だった。産んだ卵はかえらなかったが、夫のマイとはずっと仲良しだったから、7月にマイが天国に行ってしまってからしばらく、マイを探して呼んでいた。今頃はもう一緒にいるかもしれない。

 2羽とも9歳以上生きたのだから、大往生だというべきだろうが、さびしくなるのは間違いない。

 ルミはこの日の朝、下のツボ巣から出て、チーのそばで丸まっていた。死んでしまったのではないかと思って持ち上げると温かかったのでホッとして、暖房のきいたツボ巣に入れた、そしてチーにえさを食べさせてからルミを手に乗せて食べさせた。食べた量は少しだったがリンゴジュースも少しなめたので、上のツボ巣(ルミのツボ巣)に入れて寝かせた。

 昼過ぎに夫が鳥かごの掃除をするとき、チーと一緒にルミを出して手の中で温めたけれど、なんだか元気がなく、じっとしたままだった。そのうちに、糞詰まりかもしれないと思ってお尻をを触ると思ったとおり糞の塊が出口をふさいでいた。夫がそれを剥がしてからお尻を洗ってやると、詰まっていた糞が出た。ルミはそれで少し楽になったように見えたけれど、えさはほとんど食べなかった。そして、しばらくあやさんの手の中で眠ってから、暖房を増やしたルミの鳥かごのツボ巣に戻した。

 夕方6時過ぎになって、就寝前の食事を与えようとルミをツボ巣から出した夫が、ルミが冷たいぞ、といった。

 チーと比べてルミの体温はいつも低いので、温めてやらなければと思ったものの、あやさんはまだルミが死ぬとは思わなかった。

 けれどもルミは手の中でおとなしくしたまま、えさを食べなかった。そして、夫が手に取って水をなめさせると、それをなめて、飛び上がった。といっても手の中で羽ばたいただけで、残りの糞を出した。それから間もなくすると、夫がいった。

「ルミが動かなくなった。呼吸していない」

 あやさんが手に受け取ってみると、本当にルミは動かなくなっていた。ルミは詰まっていたたくさんの糞を出して、すっきりしたようだったから、それがせめてもの慰めになっている。スリムなきれいな文鳥で、ついこの前まで飛ぶことができたけれど、急に老いてマイのところに行ってしまった。

 その後、チーは夜は以前のように自分のツボ巣に入って朝を迎えるようになった。このところ自分のツボ巣に入って寝ていなかったのは、恐らくルミにその場所を譲るためだったのだろう。チーはマイペースでおこりん坊だけど、やっぱり優しいのだ。

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