2023年9月6日水曜日

(十七) さよならミーちゃん

 

 9月1日は関東大震災から100年目の日だった。その日の朝、ミーは天国へ行ってしまった。あやさんが気づいたのは鳥かごの下の紙を取り換えるときで、手前に引いたら、そこに不思議な塊が転がっていた。なんだかわからないまま手に取ってみてミーだと気づいた。。まだ少し暖かかったが、もう死んでいると思った。それでも慌てて抱きかかえて温めるものの、やはり反応はなかった。

 あっけない死だった。こんな風に死んでしまうなんて・・・。

 起きてきた夫に話すと、

「そういえば、昨日はあまり元気がなかった。リンゴジュースも飲まなかった」といった。ミーは1か月半前に天国へ行ってしまったクリの息子で、まだ8歳4か月。確かに年寄りだったけれど、急に鳥かごの床に転がって死んでしまったなんて、ショックだった。

 このところミーはほとんど鳥かごから外に出なかった。妻のモカも同様で、2羽は仲良く暮らしていた。7月の初めころ、珍しく鳥かごから飛び出したミーは、向かいにあるカーテンレールの上まで上がった。そのとき、

「ミーちゃん、ちゃんと飛べるんじゃないの」とあやさんがいうと、夫がいった。

「ミーは飛べるんだけれど、細かい動きがうまくできないから鳥かごに戻るのが難しいんだよ」鳥かごの入り口弐ついている止まり木にうまく止まれないらしい。いったん鳥かごの外側につかまってから、入り口に近づいて入るという。細かい動作が苦手になっている。そのうえ羽毛の色もシナモンのはっきりした色が薄くなって見るからに年寄りっぽかった。夫はパーキンソンのような老人性の病気かもしれないといっていたから、そんなこともあって、少し早く寿命が尽きたのかもしれない。仕方のないことだ。また、モカがピヨのように夫のミーをときどき呼んで鳴いている。

 ミーはまるでいたずら小僧のように一緒に生まれたランを追いかけては、よくこず枯れていた。ランにだけでなく、あやさんにも叱られていたけれど、なかなか可愛い昔はすばしっこい文鳥だった。モカと一緒になってからは仲良く暮らして、目が悪くなったモカの面倒を優しくみていた。おとといミーはクリと同じように線香の空き箱に納められて庭にあるお墓のクリのそばに埋められた。ますます寂しくなっていく。

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