2016年5月23日月曜日

5、庭のハト

 昨年11月にピポがいなくなって以来、庭のフェンスにえさ入れを付けてきた。ピポがもどってきたら、その白いえさ入れを見つけて食べるかもしれないと思ってのことだった。鳥かご内のスカイカフェに乗っている容器で、ピポが見ればそれとすぐにわかるはず。そこに文鳥たちの食べ残しを入れているわけだけど、 もうピポが帰ってくることはなさそうだ。
 けれども代わりに、スズメやヤマバト、ムクドリなどがやってきて食べているので、いままでそのままにしてきた。天気のいい日には居間の窓を開けているから、外の小鳥の声がにぎやかに室内に響いてくる。ということは、家の中の文鳥たちの声も、やはり外に流れているはずだから、小鳥たちも安心して庭先にくるのだろう。そしてそこにえさがあるとなれば、そんないいことはないから、雨の日以外は毎日やってくる。
 スズメなどは、にぎやかなだけだけれど、体の大きいハトともなると、白い大きなフンがたくさん落ちていて気になる。テレビで見た、近所迷惑な〝ハトおじさん〟のようにハトを集めてしまったら大変。そこらじゅうがフンで汚れ、それこそ近所から苦情がきかねない。そんなことにはなりたくないから、そろそろ取り外してしまおうかどうか迷っていた。
 ヤマバトは同じ鳥で、ときにはえさを待っていたりする。それも最初のうちは2羽だけだったのに、最近では4羽になってしまった。ハトがくると、スズメなどはえさ入れをあけわたし、地面に下りて、こぼれたえさをついばんでいるから、けっこう共存しているように見える。、ハトはスズメをいじめたりしないのだろう。
 4羽のヤマバトのうち2羽は小ぶりだから、子どもではないかと思う。家族できているのではないだろうか。
 フェンスに付けたえさの容器は白いから目立つけれど、いまは八つ手の葉に囲まれていて、よく見えない。知らなければそこにえさがあるとはわからない。だから、くるのは、決まった鳥のはず。
 八つ手の大きく伸びた葉は、ますますえさ入れを覆ってしまい、葉の下に潜り込まなければ、えさが食べられなくなった。このままいけば、えさやりをやめられるかもしれないと期待して、八つ手の葉をそのままにしておいたのに、いつもえさは、きれいになくなっている。
 数日前、とうとう気の毒になり、邪魔な八つ手の葉を折って、えさ入れを出してやった。すると、その日、洗濯物を干していたあやさんに、フェンスに止まったヤマバトが変な声で鳴いた。
「ク、クウ、クウ」
 お礼をいっているのだと思った。ふだんの鳴き声は
「ボー、ボーボデッポー」といった感じだから、だいぶ違う。
「こまったな。もうえさやりはやめたいと思っているのに」
 お礼をいわれて当惑するあやさんだけど、やっぱり鳥さんは利口だと思った。

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