そして、文鳥たちはいつもよりおとなしい。羽が抜けるのだから全身がだるいのかもしれない。大人の文鳥などは放鳥しても、いつのまにか鳥かごに戻っていたりする。静かにしていたいようだ。
そういえばチーがこのところ前にもまして元気がなく、ツボ巣に閉じこもりがちだったのは、換羽のせいだったかもしれない。冬毛が抜けて夏毛にかわるのだから、抜け切るまでは体調が悪いのだろう。
それにどうも、かゆいらしい。チーなどはあやさんの腕に止まって盛んに羽づくろいをしている。かなり体をひねっても、背中のほうまでは届かないから、こちらがかいてやりたくなるけど、それは好まないらしい。そんなことをしようとしたら、みんなすぐに逃げてしまう。
思い出すのはピポがチーの頭や背中の羽づくろいをしていた光景だけど、いまはだれもチーにそんなことはしてくれない。
「だけど、チーがピポの羽づくろいをしているのを見たことある?」とあやさんが夫にきくと、
「そうだな、パピがフーの羽づくろいをするのは見たけど、チーはないな」という返事がきた。チーはこんなときにもピポがいないさびしさ(不便さ?)を感じてしまっているかもしれない。この換羽は1か月くらい続くだろうか。
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