とはいえ、パピも寄る年波には逆らえない。また事件が起きた。
「あれ、パピがいないぞ」と夕方、文鳥たちを鳥かごに戻していた夫が、騒ぎだしたのだ。
「またなの。どこかに落ちちゃったんだわ」と、あやさんが鳥かごの置いてある机の下や電話台の下に潜って、物をどけてみたりするけど、パピの姿はどこにもない。名前を呼んでも静かなまま。
「もう、鳥かごに入るのが下手なんだから、出なければいいのに」と、あせりだして、ほかの部屋や台所など、普段パピが行かないようなところも探すものの、いない。文鳥たちも知らない様子で、ユウなどは鳥かごの上で呆然としている。
まさかと思いながら、玄関の明かりを点けると、土間に塊があった。そして、それが動いた。ヨチヨチと。
「パピ、こんなところに!」といって近寄ると、慌てて飛び上がって、玄関ドアにぶつかって落ちた。まったく7年前にきたばかりのときと同じだ、と思った。昔のドジな動きに戻ってしまったようで、やはり歳は取りたくないものだ。
落ちているパピを拾い上げて頭をなでてやる。おとなしくなでられているから、気持ちがいいのだろう。そのまま鳥かごに入れると、間もなくユウも入った。
その翌日、ユウが珍しく早くに鳥かごに戻っていて、パピも一緒にいた。ユウは前日のことを覚えていて、パピを早く鳥かごに戻さなければと思ったのだろう。メス文鳥は、ココにしてもユウにしても、なかなか利口なようだ。
これからだんだん日の入りが遅くなるから、薄暗いと見えにくそうなパピには少しはいいかもしれない。
(写真は新年のパピ)
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