2016年1月14日木曜日

(十四)シナモン文鳥のパピだよ

 ボクはオス文鳥のパピ。この家にきたのは1歳のときで、家にはすでに白文鳥が2羽いた。フーとピポというメスで、ボクはすぐに年上のフーと結婚した。
 そして、マイ(白)、ナナ(桜)、ココ(桜)、ミミ(白)と4羽の子どもを持ったけど、ミミは幼くして里子に出された。去年、妻のフーがこの世を去り、続いて娘のナナまで死んでしまった。そのうえ、ピポもいなくなってしまったから、いまではボクがこの家で1番の古株。ボクの世代はボクより2週間あとでこの家にもらわれてきたチーというボクより年下のオス文鳥とボクの、2羽だけになってしまったよ。ボクもまもなく7歳になるから、完全に高齢者だよな。
 それにしてもボクは、この家にきて初めて名前をつけてもらい、フーにはいろいろ教えてもらったなあ。美人で頭が良くて優しいやつだった。何しろボクは鳥かごからどう出たらいいかもわからなかったんだから、フーもびっくりしただろうな。それでもいちおう出るには出たら、飛ぶのも大変で、いまのボクには考えられないことばかりだった。この家にきてよかったのは、フーと一緒になれて子どもまで持てたこと。そうでなかったら、ボクは一生、独りで鳥かご暮らしのままだったかもしれない。多分、いまごろはすっかり飛べなくなっていただろうな。
 去年の2月にフーが7歳半で死んでしまってからは、気の抜けた日が続いたけれど、いまはココと一緒になったから、また楽しくなった。ココも同時に生まれた姉のナナを亡くして寂しがっていたから、お互い、いまは幸せた。
 あと、何年、生きられるかわからないけど、せいぜいココと仲良くして穏やかに暮らしたいものだ。若い連中のように騒ぎまわるのは疲れるからな。
 そうか、 もう、この家にきてから6年にもなるんだな。思い返すと、フーがケガしたり、大きな地震があったりと、いろいろなことがあったなあ。いま気になるのはいなくなったピポのことだけど、あいつのことだ、何とかやっているんじゃないかな。チーのやつはピポがいなくなってから元気がなくなって気の毒だけど……。

           (写真は新年のパピとココ)

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