2016年1月28日木曜日

(十六)白文鳥のマイだよ

 ボクはマイ。この家で初めて生まれた文鳥だよ。父さんはパピで母さんはフーっていうんだけど、母さんは去年死んじゃったんだ。もう年だったからしょうがないけど、やっぱり少し淋しいよ。
 ボクは今年の5月には6歳になるけど、ボクが生まれたとき、みんなすごく喜んだらしいんだ。母さんなんか、ボクのさしえを人に任せきりにしないで、ずっと続けたらしい。そのようすが動画に撮ってあるんだよ。ふつうは、もう人にすっかり任せるときなんだってさ。でも、それを見ると、ボクも一生懸命に口をあけていて、かわいいよ。
 父さんとは子どものころはよく嘴で挨拶して仲良しだっだけど、ボクが結婚してからは、そうでもなくなった。ボクの相手はボクより7か月あとにピポとチーの間に生まれたルミ。シナモン文鳥のメスだ。
 それからボクにはボクの1か月半後に生まれた妹がいる。ナナとココで、桜文鳥だけど、ナナは去年、母さんのあとを追うように死んでしまった。子どものころは一緒によく遊んだ。ココとナナは見た目はそっくりだったけど、性格はだいぶ違って、ココは男みたいで、ナナはよく気がついて優しいやつだった。それが病気で死んでしまってかわいそうだったなあ。ナナは、いつもボクのあとを追っていたのに、ボクには奥さんがいるから、あまり遊んでやれなかったからな。ナナの相手が早く見つかるといいと思っていたのにさ……。
 妻のルミとは仲良くやっている。卵がかえらないのが残念だけど、まあ、あんまり文鳥が増えちゃっても、このうちも困るだろうからな。子どものことはそれほど気にしていないよ。ボクとルミは特別で、いつも蛇口で水浴びをしているんだ。台所が片付くと、
「マイちゃん、ルミちゃん、ぉ水浴びよ」って呼ばれるから飛んで行くんだよ。ときどきほかのやつも見にくるけど、ボクが追い払ってしまうんだ。ボクは足が少し変なんだけど、このうちでは、いちばんかわいがられているから、威張っているんだ。

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