だからボクが好きになったのは、ずっと年上のフーのほうだったけど、フーはもうパピと仲良くなっていて、ボクが近寄ると、ピポとパピに追い払われた。
そのうちに、フーのところにマイ(白)というやつが生まれると、ボクの敵は4羽に増えた。だからボクは自分の鳥かごにいて、よく気晴らしにブランコの鈴を鳴らしていたものさ。
ところがある日、気がつくと、マイはボクのあとばかり追いかけて真似をするようになっていて、ピポはなんだか優しくなっていた。ボクはもう、ひとりぼっちじゃないように思った。
そして半年後にはピポと結婚し、その年の12月にルミ(シナモン)が生まれた。メスだったけど外見はボクにそっくり。翌年は大地震があって、ずっと揺れていたからピポは卵を産まなかったけど、年が明けるとユウ(桜)とトビ(白)の2羽が生まれた。メスばかりで少しがっかりしていたら、さらに1年後には白文鳥のオスが生まれたのさ。それがメグで、4羽の子どもを持ったわけだが、マイと結婚したルミのところには子どもが生まれていない。あとは独身者ばかりだから孫の顔は見られないと思っていたら、ユウとトビ姉妹の卵がかえって、びっくりしたよ。孫の名前はクリ、マミ、チビで、クリはこの家で初めてのクリーム文鳥だった。マミはシナモン文鳥だったけど、すぐに里子に出され、体の小さい桜文鳥のチビとクリが同じ鳥かごで暮らしていた。すると、そこにまた3羽の子どもが生まれたので、ボクは〝ひいじいさん〟と呼ばれる身分になってしまった。もう、若い連中とはつきあえない。ピポと仲良く暮らしていこうと思っていたのに、去年の11月、ピポが突然、いなくなってしまった。頼りがいのある利口な妻だったのに。あんないいやつはいないよ。
それからまもなく、孫のチビまで死んじゃって、ボクはホントに寂しいよ。鳥かごから出てもカーテンの場所取りもできないから、人にくっついているんだ。そうしていると少しは気が休まるからな。
ピポのやつ、どこかで好物の〝キクスイの文鳥専科〟食べさせてもらっているだろうか。ボクは心配でたまらない。毎日、なにもする気になれない。早く帰ってきておくれ。
(写真はひとりぼっちのチー)
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