2016年2月11日木曜日

(十九)シナモン文鳥のルミよ

 わたしはお父さんのチーとお母さんのピポの間に最初に生まれた子どもなの。お父さんとよく間違えられるくらい外見が似ているのよ。お母さんは白文鳥だけど、まだ行方不明なのでお父さんがさびしそう。しょっちゅうパパの腕やママの肩に止まっているけど、わたしはマイとの生活があるから、お父さんをかまってあげられないの。ホントにお母さんたら、どこへ行ってしまったの?
 もう3か月になるし、この前なんか雪が降ったとかですごく寒そうだったから、お母さんのこと心配だわ。
 3か月っていえば、わたしが生まれて3か月のころ、とても大きな揺れがあったのよ。鳥かごが動いて床に落ちそうになって、お母さんなんか、鳥かごの中を跳び回ってた。わたしはひとりで鳥かごにいて、どうしたらいいかわからなくてすごく恐かったわ。そのうちにパパとママが帰ってきたのでホッとしたのを覚えているわ。
 あれからもうすぐ5年になるってホントかしら。わたしも5歳をすぎたわけね。いままた卵を温めているけど、まだ子どもはいないのよ。でも妹のトビとユウのところに子どもが生まれて、その子が子どもを持ったから、わたしはおばあさん(ばあば)って呼ばれる世代になってしまったの。
 わたしのお母さんのピポは6歳半だというから、もう完全に〝ばあば〟なのに本当に心配だわ。
 妹のユウとトビは結婚していないのに、子持ち、孫持ちで、彼女たちの1年あとに生まれた弟のメグは孫のランと暮らしている。だから、夫のマイの家系より、わたしの家系のほうが大勢いる。若い子たちを見ているとたのもしい気もするけれど、みんな自分の天下みたいに暴れるから困るわ。オスが多くなってしまったから、鳥かごから出ても、なんだか落ち着かない感じ。お母さんがいたら、もっと心強いのに……
 わたしは長女だから、しっかりしないとね。

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