2016年6月3日金曜日

(4)しつけと決着

 文鳥に限らず子供にしつけをするのは大変だ。こちらのいうことをきかないからといって、むきになって怒ると、相手は意地でも従わない。こうなったらケンカのようなものだから、相手だって負けていない。それなりのプライドがあって、簡単に折れたくないのだろう。
 それをわからずに、いうことをきかない、反省しないといって、こちらがヒートアップしてしまっては大変で、文鳥などはパニックになって逃げまわる。
 それでも何を怒られているのか、だいたいわかっているはずだから、そのとき素直に従わなくても、そのうちに学習する。
 早急の危険がなければ執拗に従わせることは、こちらの力を示したことにはなるものの、相手の納得や学習にはつながりにくいように思う。
 叱ってすぐにやめさせなければ危険な場合は別だが、いま謝らないからとか、すぐにいうことをきかないからといって、その場で決着をつけようとしては危険だ。叱る側がヒートアップすると、過剰な罰を与えがちだが、これがエスカレートすると、とんでもない事態を招く。
 北海道で親の注意を受け入れないという理由で車から降ろされて行方不明になってしまった子の例もそれに当たりそうだけど、無事に見つかって本当によかった。親も反省しているようだが、1つ間違えれば取り返しのつかない事態になるところだった。叱っておくのは大切だが、叱ったからといって、子供が素直にいうことをきくものでもない。
 仮にこちらの剣幕に恐れをなして相手が折れたとしても、納得や学習にはつながらないどころか、場合によっては反抗心を育て、憎しみを生じさせたりするものだ。
 わが子が幼いころ、何で叱ったかは忘れてしまったが、わたしは腹を立てて
「謝りなさい」と繰り返した。息子はその剣幕に、ついに
「ごめんなさい」といったものの、その次の言葉に愕然とした。
「だけど、ボクは正しい」と小さな声でつぶやいたのだ。
 幼稚園にもいっていない小さな子がそういったのだ。
 しつけと称して、その場で決着をつけようとすると、叱るほうも叱られるほうも冷静さを失うから、へたをすると死に至る場合だってある。
 文鳥でさえ、こちらが何度も態度で示しておけば、やがて学習する。ましてや人間の子供にわからないはずがない。叱っておけば、それがいけないことだとわかる。だから、その場で無理やり決着をつけずに、子供は長い目で見て育てたいものだ。

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